2011年05月
南極探検家アーネスト・シャクルトンのウイスキー 届きました
少し前から、何度かニュースでも取り上げられていたシャクルトンウイスキー"Shackleton's Whisky - Mackinlay's Rare Old Highland Malt"が届きました
これは、英国の探検家アーネスト・シャクルトン "Sir Ernest Henry Shackleton"が1907年から08年にかけて南極探検を行った際に南極の凍土に残したマッキンレーウイスキーの木箱を、2006年に南極歴史遺産トラストがシャクルトン探検隊が南極で使用していた小屋を調査中に発見、マッキンレーの現在の製造元、ホワイト・アンド・マッカイの蒸留所にマスターブレンダー、リチャード・パターソン氏が研究室で分析して、再現したものです
アロマやフレーバーのチェックには抜栓はせず、コルクに注射針を突き刺して抜き出すそうで、空気と触れないように慎重に行われるようです
発見された木箱
中身・・・けっこうぼろぼろです
ボトルはこんな状態だったようですね ちなみに12本入りのケースから11本しか発見されなかった、ということで探検隊の誰かが盗み飲みしたんだろうなんて言われているようです
bbcのニュースなどでも取り上げられてましたので、あげておきます
まず、南極の小屋で発見されたときのニュース
パターソンの元に届いたウイスキーを分析、再現するまでの様子です
ラベルは結構ぼろぼろですが、凍土に埋もれていたため、状態は非常に良かったそうです
また、ラベルにはハイランド・モルトであることが記されていたが、シングルモルトかブレンデッドかは書かれていなかったそうで、シャクルトンは10年もののウイスキーを発注していたことから、このウイスキーはおそらく1896年か1897年に蒸留されたものだろうということです
アーネスト・シャクルトン、僕は実は名前程度しか知らなかったんですが、皆さんはご存知でしたか?
南極探検といえば、小学校のときアムンゼンや日本の白瀬隊の本を読んだ記憶があります 同時期に競争するように南極探検が行われていたようなので、その本にもきっとシャクルトンの名前があったのだと思います
また、1914年に再び有名なエンデュアランス号による南極探検をしていて、このときの探検がかなりの過酷なものだったにもかかわらず(約1年8ヶ月にわたる漂流)27名の隊員と共に、1人も欠けることなく生還を果して、 『絶望的な状況下において隊員の希望を失わせず、かつ、冷静な判断と決断力で奇跡ともいえる全員帰還を成功させた』ことで、優れたリーダーとして今でも称えられているそうです
探検の際に出した求人広告が有名だそうで、検索してみましたら出てきました
「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証無し。成功の暁には名誉と賞賛を得る」
・・・かなりキザです・・・が、ロマンティックでかっこいいですねー 子供心で聞いたらめちゃめちゃ感動すると思います なんとなくアニメ版宇宙船艦ヤマトの出発シーンが浮かびました
今回、このシャクルトンウイスキーのレプリカとして5万本つくられたようですが、かなり完璧に再現できたようで、楽しみですね
パターソンの他に、デヴィッド・ブルームも元のウイスキーを試飲したみたいで
「100年前に作られたものはみな大きくて力強いとの先入観があったが、品質が優れていただけでなくなかなか繊細なスタイル 最後にスモーキーな香りをわずかに残す」と、コメントを残しています
気になるレプリカの中身ですがまだ詳細がわかりません マッカイが所有するハイランドの蒸留所のものからだと思われますが・・・・ダルモアなどが中心になるのでしょうか
オリジナルマッキンレーはグレンモールが中心だったようです グレンモールはネス湖のそばにあった蒸留所ですが1983年に閉鎖になっています もう長熟のカスクしか残ってませんが、情報ではグレンモールもレプリカに入っているようです ということは、けっこう熟成感のある仕上がりなんでしょうか?
アンティーク感のある木箱のまま、カウンターに置いてます まだ飲んでませんが今週にでも開栓したいと思います 興味もたれた方、是非お試しください
1杯¥1800 ハーフ¥900
あまり知らなかったシャクルトンですが、調べていくうちに興味がわいてきたので、図書館で 『エンデュアランス号 シャクルトン南極探検の全記録』という本を借りてきて少し読み始めたところです
写真も満載でなかなか読み応えのありそうな本です そして、優れたリーダーとしてのシャクルトンだけではない側面、過酷な状況の中ならではの人間関係などが書かれていて面白いですね
去年は江戸期の漂流民など、「意図せず見知らぬ場所で生活せざるを得なかった人々」について書かれたものに興味が出て色々読んだのですが、今年は、冒険家や探検家など「意識的に見知らぬ場所を目指した人たち」についても知りたいと思いました 詳しい方色々教えてくださいね
追記・・・試飲しました 05・28
デヴィッド・ブルームのテイスティングコメントにあったように、色合いはかなり薄いきれいなペールゴールドです
香りも非常に繊細で、上品なもの みずみずしいリンゴやナシの香りにほんのり新生姜、そして更にその上に薄く載せた感じの薫香が漂います 飲み込むと、スパイスを入れたアプリコットジャムに薄いアールグレイのような風味、少し辛みも感じます そして柔らかいけどしっかりしたスモークと麦芽糖の甘さが舌の上に長く残ります・・・
全体的に淡いフレッシュな味わいウイスキーですが、若いウイスキーの持つ麦芽っぽさ、強いスピリッツ感はあまり感じません 上品で、繊細な美味しさ・・・1900年代の再現としても、探検家のオーダーしたものとしても意外感はありますが、逆に興味深い味わいです 開栓直後の試飲なので、少し置いてからまた味わってみたいと思います
アイラ島のハーブ、スパイスを使ったジン "botanist"入荷です
年末前から情報は入ってたんですが,なかなか注文できず・・・やっと届きました
ブリックラディ蒸留所のつくる "islay dry gin" アイラドライジン ボタニストです
アイラ島で取れた22種類を含む31種類のハーブ、スパイスなどのボタニカルを使い、アグリーベティーと名づけられたローモンドスティルでの3回蒸留、ノンチルフィルターでのボトリングされています
ちなみにローモンドスティルというのはちょっと特殊な蒸溜器で、ネック部分が円筒形、たくさんの穴が空いた3段の仕切り板がついています グレーンウイスキーなどをつくる連続式蒸留器に似た形状で、かつてはたくさんの蒸留所が所有していたようですが、現在はブリックラディのみが所有しているようです
で、蒸留器も珍しいのですが、原料はもっと変わったところ満載になっています
まず、ボタニカルとなるハーブの選定などはアイラ島に在住の植物学者"ボタニスト"に依頼してレシピをつくったそうです
ジンの香りの中で一番強い要素を持つジュニパーベリーももちろんアイラ産ということです 正にアイラの風味が詰まったジンという感じです
また、ボトルネックの所にそのボタニカルの名前を列記してありますが、判るものは少しだけ、ほとんど判らなくて少しずつ検索して調べているとこですが・・・
例えば、mentha x piperita、これはペパーミントのこと,Mentha X villosa、これはベルガモットミントですね
filipendula ulmariaは西洋夏雪草のことで、胃炎に効く薬草のようです
Betula pubescensはヨーロッパダケカンバ、Crataegus monogynaは セイヨウサンザシのことだそうです
myrica galeはヤマモモの樹皮だそうで、この辺になるとさっぱりわかりませんね
今のところこんな感じで少しづつgoogleで検索してる段階です 近いうちにもっと詳しく調べてみようと思います
こういった通常ジンに使わない、自家製のビターリキュールなどに使われていそうな、ヨーロッパに自生しているハーブや樹皮などをたっぷり使ったジンだそうで、かなり興味をひきます
また、そのネックのリストの最後に"artemisia absinthum"と書いてますが、これはニガヨモギのことで、そうアブサンの主原料になるあのハーブのことです なので、アブサン好きの方にもぜひお薦めしたいですね
常温で試飲してみました・・・
香りはかなり強いフレッシュジュニパーのアロマ!いい香りなのですが、ジュニパーベリーが強くて、正直アイラ由来のたくさんのハーブ、スパイスの香りがあまり判りません 若干、白胡椒っぽいスパイシーな香りを感じた程度
飲んでみるとやはりジュニパーの強い香り 美味しいです!ヴィクトリアンバットから感じるようないいジュニパーのフレイバー 苦みと甘みが同時に舌に乗っかる感じでかなり好みのジンです そして飲み込んだあとにはじめてジュニパーの奥から色々なハーブの香りが口の中に広がりました
ミントをかじったあとの苦みと爽快感、樹皮由来でしょうか、若干の渋さ、ウッディさ、また野生のベリーのような妖しい甘さも感じます・・・飲みこむたびに色々な香り、味わいが口の中に広がって楽しいですね が、やはりいいジュニパーの香りが全体をまとめている感じです
アイラ島に特別思い入れがない方もかなり楽しめる美味しいジンです そして、アイラモルトがお好きな方には是非アイラのテロワール感たっぷりのこのジンも味わってほしいと思います
個人的にもかなり気に入りました "botanist" ぜひお試しください ¥800