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かつて実在し現在は失われた蒸溜所=ロスト・ディスティラリーのウイスキーを現代に蘇らせることを目的に設立された、新鋭のインディペンデント・ボトラー、The Lost Distillery Companyのボトルが入荷してきました

ディアジオにいたScott WatsonとBrian Woodsで立ち上げたボトラーズ グラスゴー大学教授、Michael Mossによる当時の数々の文献の考証により、古の蒸溜所でつくられていた幻のウイスキーの味わいを再現しているそう

レプリカとして近年古いウイスキーを模したものがいくつもリリースされましたが、その多くは当時リリースされたボトルをオークションなどで入手し、成分分析などの科学的な手法を用いながら現在のウイスキー原酒でその味に近づけたものでした 

それらとは違い、こちらのシリーズは文献重視とはいえ、あくまでイメージ、想像により当時のウイスキーをブレンデッドモルトというやり方でつくりあげたものになります

ここまでの話で『なんか訳わからない胡散臭いウイスキーなのかな』と思われる方も、『ちょっとロマン、遊び心があって面白そうだな』と思われる方も、いらっしゃると思います 僕の場合も両方の気持ちが湧きましたが、遊び心というか怪しさも含めて興味がわきましたのでいくつか注文してみました

最近特に感じますが、来歴がはっきりわかるものや、データの細かく表示されたもの、そしてネット等で高評価や話題になったものなどに人気が集まることがこのごろ特に多いです  情報量の多い時代なので、それもいいことだだとは思うのですが、「失われた蒸留所の味わいを文献で再現してみた・・・」良くも悪くもとれますが、この感じ、個人的に惹かれます ウイスキー好きのスタッフであれこれイメージしながらブレンデッドモルトを仕上げていったとしたら、それはかなり楽しい作業なんじゃないでしょうか?この蒸留所の近くだから、仕込み水はこの蒸留所と同じはず、とかポットスチルの形状から仕上がりを想像したり、ピートレベルはこのぐらい、樽はこの辺、・・・面白そうですね やってみたくなります 

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長々とこのシリーズについての話になりましたが、ここからこのボトル『ストラスエデン』の話

インポーターの資料によると

『ストラスエデンは1829年から1926年までファイフで操業していました この蒸溜所はボンスローネ家による家族経営で、他者の経営参画を拒みその閉鎖までワンオーナー制を貫きました』とのこと

実際、余市蒸留所にあった竹鶴氏の遺品の中のスコットランド蒸留所のリストを撮影していたのですがその中に『ストラスエデン』をみつけることができました

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拡大すると見えますが84番に記されています 

味わい、テイスティングコメントですが

『フルボディで麦芽の甘さとハニージンジャー、そして微かな塩 逞しい東ハイランドスタイル
完熟果実やフルーツジャムの甘い香りが主体 比較的どっしりとした酒質で、温かいペッパーと塩っぽさがジンジャーやマディラケーキ、トフィーの甘さと複雑な味わいを構成している フィニッシュは長く、焼き菓子の桃とスモークが長く伸びる』 

飲んでみました 香りはスモークとドライなペッパー感があります 飲み込むと麦芽、甘いアプリコットネクター、しょっぱさとやはりスモーク そしてオイリーで香りから想像したよりフィニッシュは長い  煙いほどではないスモークが心地いいです  全体的にクラシックでスモーキーなハイランドモルトといった感じ 甘さとドライさの加減が僕の好きなバランスです 価格帯からみてもいい感じです 一献お試しいただければと思います

¥1000